前回に引き続き、プロジェクトマネージャ試験の午前IIの振り返り。正解はIPAのサイトで公開されているのでそちらも参照のこと。
過去問題 令和4年度秋期試験
今回も各問題について、wadakyonの視点でどのように考えたかを振り返っていきます!
問6
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば、対象群”資源”に属するプロセスである”資源の管理”の目的はどれか。
ア:活動リストの活動ごとに必要な資源を決定する。
イ:継続的にプロジェクトチーム構成員のパフォーマンス及び相互関係を改善する。
ウ:チームのパフォーマンスを最大限に引き上げ、フィードバックを提供し、課題を解決し、コミュニケーションを促し、変更を調整して、プロジェクトの成功を達成する。
エ:プロジェクトの要求事項を満たすように、プロジェクト作業の実施に必要な資源を確保し、必要な方法で配分する。
おそらくこれは初出の問題。ただ似たような問題は応用情報などでも出題されている模様。
正解は「エ:プロジェクトの要求事項を満たすように、プロジェクト作業の実施に必要な資源を確保し、必要な方法で配分する。」である。
設問を見ると、『”資源の管理”の目的』について問われているので、意識して選択肢をみていくと、まずアは『資源を決定』するとあるので管理ではない。イは『パフォーマンス及び相互関係を改善する』とあるので、これも管理というよりは、「マネジメント」のことを言っていると思われる。次にウについても、いろいろと述べられてはいるが、いずれも「マネジメント」について述べている。
ということで消去法で考えるとエが正解になるが、念のため内容を見ておくと、『作業の実施に必要な資源を確保し、必要な方法で配分する』とあるので、「管理」について述べられていることがわかる。よってエが正解。
問7
EVMを使用してマネジメントをしているプロジェクトで、進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。
[進捗に関する指標値]
CPI(コスト効率指数):0.9
SPI(スケジュール効率指数):1.1
BAC(完成時総予算)に基づくTCPI(残作業効率指数):1.2
ア:コストが予算を超えているが、スケジュールには余裕があり、残作業コスト効率を計画よりも上げる必要はないので、CPIに基づいて完成までに必要なコストを予測する。
イ:コストが予算を超えているので、完成時総予算を超過するおそれがあるが、スケジュールには余裕があるので、残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか、コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
ウ:コストには余裕があるが、スケジュールが予定より遅れており、残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので、ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに、コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
エ:コストには余裕があるので、残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが、スケジュールが予定よりも遅れているので、クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。
これもおそらく初出の問題。ただEVMに関する問題はよく出てくる感じがするので、単語を覚えておく必要がある。
アーンド・バリュー・マネジメント(英: Earned Value Management, EVM)とは、予算および予定の観点からプロジェクトがどのように遂行されつつあるかを定量的に評価し、コスト効率と進捗率を一度に把握するためのプロジェクト管理の技法である。
ウィキペディアより引用
この問題の正解は「イ:コストが予算を超えているので、完成時総予算を超過するおそれがあるが、スケジュールには余裕があるので、残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか、コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。」である。
選択肢をよく見ると、アとイは「コストが予算を超えているが、スケジュールには余裕がある」、ウとエは「コストには余裕があるが、スケジュールが予定よりも遅れている」と正反対のことを述べていることがわかる。これについては、進捗に関する指標値で、CPI(コスト効率指数)が1より小さい=コスト効率が悪い=予算を超えていることから、ウとエはまず除外できる。
上記によってアかイの2択まで絞れたので…あとは、残作業コスト効率(TCPI)を計画より上げる必要があるにか、ないのかがわかれば正解できるのですが…自分はこの言葉の意味がわからずに、運任せでアを選んで不正解でした\(^o^)/
問題文をよく読むと、「BAC(完成時総予算)に基づくTCPI(残作業効率指数)」ときちんと記載されているので、残った作業でどれくらい効率を出す必要があるかの数値だと理解できていれば、指数が1より大きい=効率よく進める必要がある、と判断できてイが選べたはずなので、振り返ってみると非常にもったいない不正解と言えます。
問8
ソフトウェア開発においてWBSを作成する目的として,適切なものはどれか。
ア:開発の期間と費用がトレードオフの関係にある場合に、総費用の最適化を図る。
イ:作業の順序関係を明確にして、重点管理すべきクリティカルパスを把握する。
ウ:作業の日程を横棒(バー)で表して,作業の開始や終了時点、現時点の進捗を明確にする。
エ:作業を、階層的に詳細化して、管理可能な大きさに細分化する。
基本情報など下位の試験でも過去に出題されている問題。(基本情報技術者試験 平成25年秋期 午前など)
正解は「エ:作業を、階層的に詳細化して、管理可能な大きさに細分化する。」である。
WBSは『Work Breakdown Structure』(作業分解図)の略なので、選択肢の中で「詳細化」や「細分化」と述べているエが正しい。
問9
図のアローダイアグラムから読み取れることとして、適切なものはどれか。ここでプロジェクトの開始日を1日目とする。
ア:作業Cを最も早く開始できるのは6日目である。
イ:作業Dはクリティカルパス上の作業である。
ウ:作業Eの総余裕時間は30日である。
エ:作業Fを最も遅く開始できるのは11日目である。
この問題も応用情報技術者試験などの下位の試験でも過去に出題された問題。(応用情報技術者試験 平成31年春期 午前)
正解は、「ウ:作業Eの総余裕時間は30日である。」である。
解き方としては、各○のポイントに到達するのが何日目になるのか、作業ルートごとに図に書き込んでやれば良い。そのうえで選択肢の内容が正しいか判断すれば簡単に解くことができる。
問10
COCOMOには、システム開発の工数を見積もる式の一つとして次式がある。
開発工数=3.0×(開発規模)1.12
この式を基に、開発規模と開発生産性(開発規模/開発工数)の関係を表したグラフはどれか。ここで、開発工数の単位は人月、開発規模の単位はキロ行とする。
過去問の再録。(平成30年春期 午前IIなど)
正解は、「エ」である。
ちゃんと覚えていればそれが一番早いが、COCOMOを全く知らなくても、開発規模に数字を入れてみて、開発工数がどうなるか、それにともなって開発生産性がどうなるかを実際に計算してみれば良い。さらに言えば、1.12乗の計算結果がわからなかったとしても、1乗より少し大きいので、開発工数は開発規模の3倍よりちょっと大きくなるんだな…と認識できれば、あとは開発生産性の結果についても予想がつく。
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